かすみ草

僕はある日かすみ草に魅かれる理由が分かった瞬間がある、

そこから自分自身とつながり、自分の自覚してなかった内面を感じることができた。

その日のことを書こうと思う。



2015年のあるフラワーアレンジメント教室の日。


いつも通りお花を活けていく。

徐々にオアシス上でお花達が活躍していく。 

 まるでその場で、その花達がそれぞれ役割を全うしているように見えた。


ここじゃない、ここでもない、とお花を活ける場所を探す作業はまるで、

組織の中でメンバーの適材適所を探しているような気分だった。


誰だって活躍できる場所はある。

 僕はすべての花が活躍してほしいし、活躍できる。

活躍させられなかったら、まとめ役の僕の実力のなさだと思う。


カーネーションが少し浮いているように見えた。

 そこで僕はかすみ草を入れた。 


 かすみ草はいい。

どこに入れても、その周辺にいる花達を際立たせてくれる。 



 (右の作品が僕ので、白い小さいのがかすみ草) 


 写真からじゃうまく伝わらないかもしれないけど、カーネーションが生き生きとしているように僕には見えた。 

 カーネーションの良さをかすみ草は引き出したように感じた。 


かすみ草はどこに入れてもフワッと際立たせてくれる。

何にでも合う。


まるで空気だ。


いい仕事は空気が作る。

気持ちのいい空気作りが大事だと僕は常に思っている。

その空気のようなものを、かすみ草には感じる。



思えば 僕はかすみ草が前から好きだった気がする。 


 僕は誰かが活躍するお手伝いをする時がとても嬉しい。 

 例えば悩みを聞いたりして、 その人を邪魔している固定観念や、周りから言われている間違った常識を無理ない程度に外していく。 


 話し終わった後にその人が明らかに今までと違う表情が現れる時がある。 

新しい何かを見つけたような、何かが壊れたけどそれが何かわからずに少し戸惑ったような。

全く新しい世界に行ったような。 

 時には「力を貰った」と言ってもらえたりした。 


ピアノ伴奏もそうだ。

伴奏は引き立て役だ。

まだ腕前が足りない部分は大いにあるけれど、ボーカルやセッションする人が楽しそうにしてくれたらとても嬉しい。


 僕は主役よりも引き立て役が楽しい。

 かすみ草のようにその人をフワッと際立たせる。 

それだけがしたいのかもしれない。

そのためにいろいろ学び、力を欲しているのかもしれない。



かすみ草の働きは僕自身の求めている生き方そのものなのかもしれない。

ある意味、僕は気持ちのいい空気でありたいのかもしれない。

でもさすがにその領域はまだまだ力不足で死ぬまでにたどり着けるかというところ。

でも、行けたらいいなと思う。


 フラワーアレンジメントをやっていると心が落ち着いてくる。 

それは自分自身でも自覚していない内面が表に出てくるからかもしれない。 


フラワーアレンジメントはある意味自己分析だと思う。 

 同じ花材を使っても人によって全く違うものになる。

自分が活けたフラワーアレンジメントは自分自身の移し身。


その時の自分の状態でも作品の雰囲気は変わってくる。

それはピアノ演奏にも言える。


ピアノ奏者の自分の状態は音の波となって出ていく。

とても幸せな気分で弾いたforever loveは幸せな音の波を放ち、その波が空間を包み、

聴いてくれている人を癒す。

だから、イライラしている時に演奏したforever loveはとても聴かせられるものにはならないだろう。イライラしてたら紅を弾いたほうが映えるかもしれないね。

 


 自分が「いいな」と思うものたちには必ず共通点がある。

 逆に「嫌だな」と思うものたちにも共通点がある。 

 そこから自分が目指している未来像。 

 大事にしているもの。 

 なんとかしたいと思っている世の中の闇。 

 それらが見えてくる。 


 今まで僕はかすみ草が好きだったけどその理由まではわからずに、そのモヤモヤ感を楽しみながら今までフラワーアレンジメントを続けていた。 


そして今日かすみ草を活けた時に、かすみ草が周りの花を際立たせる為に僕が配置しているのを自覚できた。 

 その瞬間自分自身と繋がった。

 「かすみ草っていいな。」と思ってから1年経っていた。

つまり、1年間モヤモヤしていた。

 

 自分の悩みがあっても、それをすぐになんとかしようとする必要はないと僕は思っている。 

無理になんとかしようとすると焦って間違った方向に行ってしまうから。 

 成長意欲があれば大なり小なりモヤモヤ感はずっとついて回る。 

そのモヤモヤ感を自覚して、自分の気持ちに正直であろうとすればモヤモヤ感はいつか必ず晴れる。 そして次の次元のモヤモヤが現れる。

終わりない次元への扉。


その扉を何枚開けられるか楽しみである。

かんとりーまーむ

まーむ=僕 の作る かんとりー=街

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